喫茶店

札幌の東急ハンズの裏の通り、私が高校の頃は「オヨヨ通り」と呼ばれていて、個性的な喫茶店がたくさんあった。
喫茶店以外にも何やら怪しげな(って変な店じゃなかった…とおもふ)店も多く、ブラブラ歩くだけでも面白かった。
もっとも当時の私は中がよく見えないたくさんの店に気軽に入るには若すぎたので、数件の喫茶店に入るのがやっと。
2坪くらいしか無くカウンターに4人も座れば一杯の店とか、薄暗くちょっとサイケな店とか。

オヨヨ通り以外にも、中心部には個性的な喫茶店が多く(Cafeじゃなくね)私服の高校に通っていた私は、授業が終ると地下鉄の駅にバッグを投げ込み、三越の地下で洋モクを買って(当時、三越地下にしかなかったタバコがたくさんあったのであ〜る)喫茶店巡り。これが高校時代の一番楽しかった想い出。
時には男友達5〜8人でつるんで行く事も(今と変わらず女の子はいなかったのだ)

まずは「Disk Up」と言う、当時はまだ珍しかった地下にある輸入レコード屋に行って、お気に入りのアーティストのレコード(!)のジャケットを眺め(買えないのである)見つけられない時は、向いの五番街ビルに出来たばかりの「TOWER RECORDS」に行って(「TOWER RECORDS」の方がしっかり仕分けしてあって見つけやすいが、Disk Upより高かったのだ)こずかい溜まったら今度はこれ買おうっと…などと思いにふけ、その後おもむろに喫茶店を目指す日々。
いや、「TOWER RECORDS」は大学時代だったか…いつオープンしたのか知っている方いらっしゃいませんか。

f0021369_1826540.jpgそうそう、当時喫茶店巡りのバイブルは「札幌青春街図」と言うガイドブック。
今で言うporoco別冊みたいなものか。
いや、喫茶店以外にもいろんな情報が詰まっていたっけ。

当時の喫茶店、もちろん普通にお茶しに行く喫茶店もたくさんあったのだけれど、私が通ったのは「ジャズ喫茶」や「ロック喫茶」と呼ばれていたところ。
「ジャズ喫茶」とは何ぞや??と言う方も多いかも知れないが、当時は「ジャズ喫茶」や「ロック喫茶」「名曲喫茶」、はたまた「ノーパン喫茶」や「同伴喫茶」…失礼、これは関係ないのである…音楽を聴く為の喫茶店が珍しくなかった。
多くの店は素晴らしいオーディオシステムを組んであって、スピーカーやアンプを見るだけで目の保養になった程。
もっとも、高校生の私にその音の素晴らしさ分かるはずも無く、ましてやジャズの演奏の善し悪しなど全〜〜〜く分かりゃしなかったのだけれど。
それでも大人の仲間入りしたくて仕方ない私は「札幌青春街図」片手にたくさんの店をまわったものだ。
自分よりも5〜10歳は上かと思われる“大人”な男達に混じって、同じ空気を吸い同じ音楽を聴いているだけで、自分も何だか大人になった気がしていた。

実は珈琲自体は小学生の頃からドリップの珈琲を自宅で毎日のように飲んでいたので(父親がハイカラなおっさんで、まだインスタントコーヒーも珍しい時代から落として飲んでいたのであーる)味も多少は分かっていたし、何より大好きな飲み物。
これは今に至っていて、飲まない日は無いくらい…と言うか、できれば自分で店を開きたいくらい。
おかげで、喫茶店巡りは「ジャズ喫茶」や「ロック喫茶」が無くなってからも楽しい娯楽のようなものだった。
引っ越す度に、近くに素敵な喫茶店が無いか探したりして。

当時通った喫茶店、遠い記憶を頼りに思い出してみると…
「ぽっと」「act」「あじと」「Beat」「ぜんまい仕掛け」「B♭」「ジャマイカ」「CATCH-BOX」…あたりがオヨヨ通りだっか。
「SALA」「セブン」「ルパン」「どっこ」「RockHouse」「Bossa」「バナナボート」なんかもよく通ったけど、場所を覚えている店が少ない。
「祐天堂」「びーどろ」は行きたかったけど、高校生には敷居が高かった。
今でも「ジャマイカ」や「Bossa」は場所を変えたりしながら残っているけど、当時と同じ空気が流れているんだろうか。
「SALA」はパンケーキが美味しかったんだけど、頼むのがちょっと恥ずかしくて、女の子を誘って代わりに頼んでもらったり…って、そんな女の子を探すだけで大変だったのだが(今では堂々と一人でチョコパフェも頼めたりする50歳なのである)

余談になるが、その「SALA」に似た店が、札幌から遠く離れたオホーツクの街、常呂にある。その名は「しゃべりたい」
所ジョージさんの番組「笑ってこらえて」にも出た名物マスターが美味しい珈琲と料理を出してくれた、とても素敵な喫茶店だったが、残念な事に数年前にマスターが亡くなったそう。
亡くなる2年程前に、25年振りくらいで店に行ってマスターとママにお会いし、懐かしいお話をさせてもらえたのが良い想い出となった。
最初にお邪魔した際(オープン間もない頃)ママに「SALAに似てる」と言ったら「学生時代によく通って、お気に入りの店だった」とお話しされていたのを思い出す。

話を戻そう。
「ジャズ喫茶」の多くは、友人とおしゃべりをしに行くような場所ではなく、黙って真剣に音楽に耳を傾ける場所だった。
喋っていると常連さんに叱られそう(実際に叱られた)な店が多く、一人でいくのがデフォルト。
なので、友人と行く際は必然的に「ロック喫茶」に。
もっとも、こっちはこっちで音がうるさくて会話にならなかったりもしたのだけれど。

実は「ジャズ喫茶」には、足を遠ざけるもう一つ大きな要因が。
珈琲が不味いのである、もちろん全てとは言わないが。
濃いのと苦いのは違うのに、煮詰まったようなただ苦い珈琲を出す店が多かった。
まぁ「ロック喫茶」も同じようなものだったけどね。

いつの間にやら街の喫茶店はカフェに取って代わり、今では当時の店をほとんど見る事が出来ない。
音楽は別として、残っているのは「可否茶館」「北地蔵」等、珈琲が美味しい店なのは、偶然ではないのだろう。

今時のCafeにはほとんど行く事がないが、スタバやドトール、タリーズと言った店は時々使う。
あれはあれで悪くはないけれど、昔通った喫茶店とは本質的に違う店だ。
スタバやタリーズは、それなりに美味しいコーヒーと半径50cm程の最低限のプライベート空間、それとWi-Fi環境を提供してくれるけれど、喫茶店は美味しい珈琲と店の雰囲気、空気、音楽、それらを提供してくれる。
Wi-Fiはないし、可愛いおねーさんの笑顔も無い(所が多いのである)けれど、極上の時間を過ごす事が出来る。
喫茶店へは時間を買いに行のだ。潰しに行く場所ではない。

今は喫茶店で珈琲を楽しむ時間がとても贅沢なものになってしまったけれど、もう少し仕事を頑張って、もう少し時間に余裕ができたら、また学生時代のように喫茶店巡りをしたいものだ。
それまで、街の喫茶店オーナーさん、頑張って営業して下さい。



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