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フィギュアに思う

真央ちゃん、結果はちょっと残念でしたが、素晴らしい演技を見せてくれたと思います。
キム・ヨナにあれだけの演技をされては、この結果も致し方ないでしょう…銀メダルは順当な結果でした。
(願わくば、ノーミスで演技を終わらせてあげたかったですが)

さて、先日の男子フィギュアの終了後、プルシェンコが記者会見で「昔の採点基準なら勝っていた。もはや4回転ジャンプに価値はない」と言った事が(少々悪意を持って?)報じられていました。
私自身、全体的な印象ではライサチェクの方がプルシェンコより丁寧で美しい演技をしていたように思えましたし、あまり気分の良い会見報道に思えなかったのですが、実際にプロトコルを見ると点数の差は見た目の印象とは違う部分に出ていたようでした。
高度な演技をする事は、ハイリスク・ローリターン…そう言う採点基準である印象を否めません。

で、今回の女子フリー。
手元のプロトコルを見ると、やはり(例えば)リスクを負って3アクセルを飛ぶより、3ルッツを綺麗に飛ぶ方がいいのかも…そう思っちゃいます。
実際、今回の真央ちゃんの3アクセルは基礎点8.20でGOE(見栄え評価点)が0.80、合計9.00
対してキム選手の3ルッツは6.60、GOEが2.00、合計8.60で0.4点の差でしかありません。
(ちなみに真央ちゃんの3アクセル+2トーループは基礎点9.50
キム選手の3ルッツ+3トーループは同10.00、これはあり得ないと思うのですが・・・)

フィギュアに思う_f0021369_1244298.jpg今回はこのGOEの扱いが騒がれていますが、そう言う採点基準を知った上でプログラムを組んでいるのですから、採点自体をあぁだこうだ言う気はありません。
そこに今更文句を言うのはお門違い。
競技に対してどう言うアプローチをするか、その自由を選手やコーチは与えられているのですから。
おそらくプルシェンコも今回の結果について文句を言ったのではないのでしょう、これからフィギュア界が進む方向性について苦言を呈したかっただけで…
4回転に拘った高橋選手に「ありがとう」と言っていたのが印象的でした(もっともそのせいでライサチェクは微妙な雰囲気になっちゃいましたが)

私には、どう言うアプローチをするかと言うのは、戦術の違い…と言うよりも、競技に向かうスタンスの違い、大袈裟に言うと生き方の違いのような気がします。
私は3.5回転を2度決めた真央ちゃんはもちろん、ミスをしましたが4回転に挑んだ高橋選手を誇りに思います。
(そう言う意味では、SPで回転不足を取られFSで3+2にしてしまった安藤選手がちょっと残念。これで諦めちゃわないでチャレンジし続けて欲しいです、採点基準に関わらず)
オリンピックのフィギュアがショーではなくスポーツである限り、新しくより難しい技術を競うべき…そう感じます。
もちろんこの競技に「美しさを競う」と言う側面がある事は否定しません。
芸術性に対して恣意的な採点があって然るべき競技だし、ジャッジの主観が入るのは当然。
それでもなお、オリンピックがアスリートが立ち向かう競技であるのなら、やはり進む方向を少しだけ間違ってはいないか?…そんな事を感じてしまいました。

何だか、真央ちゃんが負けたからこんな事書いているように思われちゃいそうで、本当は昨日のうちに書きたかったのですが(^^;;
男子フリーの後、プロトコルを見てからずっと思っていた事でした。

いろいろ書きましたが、素晴らしい演技を見せてくれた(魅せてくれた)選手達には「お疲れさま、胸張って帰って来て下さい」と言ってあげたいです。
中国をはじめ、世界各国が国を上げてオリンピックのメダル獲得へ力を入れています。
メダルを取ると言う事は、もちろん高いモティベイションになるでしょうし、結果として獲得できれば素晴らしい事です。
でも私が一番選手達に望むのはやはり、持てる力を全て出し切る事です。
力の全てを出し切らずにメダルを取るより、出し切って4位の方が(いえ、たとえ最下位でも!)美しいし、それがアスリートのあるべき姿だと思います。
オリンピックの種目、競技時間が一番短い種目は何なのでしょう…
女子フィギュアは(フリーの)4分間に、ジャンプは2本合わせても十秒程に4年間の努力の全てを表現しなければならない…だから人々は感動するのでしょうね。
メダルを取った取らない、買った負けた…そんな結果だけに眼をやる事無く、ほとんど報道される事もないような選手達にも心を動かされる、そんなオリンピックが大好きです。
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